料理にも重曹を使ってみよう!
重曹の正式名は「炭酸水素ナトリウム」で、別名は「ベーキングソーダ」。自然界や人体にも存在するナトリウム化合物のなかで最も弱いアルカリの一つです。昨今、重曹の安全性や効果が見直され、よりシンプルな生活を送るためにも重曹を取り入れた生活が注目されています。お料理後のあとかたずけでも重曹が大活躍。例えば、魚を焼いた後のグリルの汚れや臭いまでもきれいに取り除いてくれます。キッチンに1本あるだけで、あらゆることができてしまい、しかも人体や自然環境にもやさしいのです。
1.膨張効果
重曹に酸を合わせると、二酸化炭素の細かい泡が発生して生地が膨らみやすくなります。酸性の材料である小麦粉・バター・卵・牛乳・白砂糖・はちみつ・チョコレートなどを混ぜ合わせればベーキングパウダーを入れなくても重曹だけで十分に膨らみます。入れすぎると苦味が強くなるので注意。もし苦味が気になるようならレモン汁数滴を加えれば、解消されます。
急いで膨らませたいときや、重曹の独特な風味やほろ苦さを和らげたいときなどは、同量のベーキングパウダーを加えるといいでしょう。
2.やわらか効果
豆を早くやわらかくするためには、かぶるくらいの水に重曹をひとつまみ入れます。豆のたんぱく質を分解させ、水を浸透しやすくさせ、またアルカリ作用 によって繊維を軟化させます。アルカリ効果によりたんぱく質の組織を分解するため、いつもの肉もやわらかくなりますまた、加熱による縮みも防ぎます。
3.プリプリ効果
エビやイカを炒めたり揚げたりと、そのまま加熱すると身が縮んでかたくなるので、プリプリ感を出すために下味をつけるときにひとつまみ入れましょう。 たんぱく質分解作用によりやわらか効果が発揮されます。
4.発色効果
緑黄色野菜を茹でるときに入れると色鮮やかになります。これは、水に溶けた炭酸ナトリウムの着色作用によるものです。また、繊維やビタミンが壊れすぎてしまわないよう時間をかけずにサッと茹でましょう。
5.中和マイルド効果
重曹には酸性を中和させる働きがあります。酸味の強い果物、野菜、酢など使う場合にも、ひとつまみの重曹でマイルドに仕上げることができます。でも、入れすぎると苦味が出てしまうので注意。
6.ぬめり、臭み取り効果
食べるのは好きだけど、ヌルヌルしてて生臭みがあるからさ触るのがちょっと苦手・・・。こんな場合も、重曹の研磨作用と消臭作用で解消できますので、抵抗がある人もそれほど気にならずに調理できます。
7.農薬、ワックス除去効果
新鮮な野菜や果物は、できれば皮のまま食べたいものです。でも、農薬やワックスがついているかと思うと、気になってしまうこともあるのではないでしょうか?
重曹の研磨作用により、指でかるくこするだけで、皮に残った農薬やワックス、または表面の薄い汚れなども、傷つけることなくやさしく落すことができます。
8.アク抜き効果
山菜の中でもアクの強いぜんまいは、アクをしっかり取ったほうがよりおいしく食べることができます。繊維の多い山菜は、重曹のアルカリ成分により繊維をやわらかくすることでアクが抜けやすくなります。
9.水質を変える効果
水には軟らかい水(軟水)と硬い水(硬水)があります。それは水に含まれているカルシウムとマグネシウムなどの金属イオンの含有量によって決まります。つまり、軟水とはカルシウムとマグネシウムの含有量が少なく、硬水とはカルシウム、マグネシウムの含有量が多い水です。 軟水で作る料理や飲み物は、硬水で作る料理に比べ、素材の味や香りを引き出し、まろやかなおいしさになるといわれています。水に溶けると金属イオンを挟み込み、水を軟水に近づけるため、重曹によって硬水を軟水に変えることができます。すなわち、それぞれ好みはあるものの、水を軟らかくして理想的な「超軟水」の状態に近づけてくれるのが重曹です。
*「超軟水」・・・カルシウムとマグネシウムなどの金属イオンをまったく持たない水のこと。人間にとって水の質や味わいを良くするナトリウムは豊富に含んでいる。
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